🍁紅葉と多羅葉と小さな手紙

11月も半ばを過ぎ、街路樹が赤や黄色に染まり始めました。
お寺や神社を歩くと、境内の静けさと色づいた木々が、ゆっくりと心を落ち着かせてくれます。
そんな秋の景色の中で、ときどき「多羅葉(たらよう)」の葉を見つけることがあります。

多羅葉の葉

多羅葉は、葉の裏を尖ったものでなぞると黒く文字が浮かび上がる、不思議な性質を持っています。
手のひらほどの大きさで、楕円形に近い厚みのある濃い緑。つやのある丈夫な葉は、昔からちょっとした言葉を残すのに使われ、「葉書(はがき)」の語源の一つとも言われています。

紅葉を目で楽しみ、落ち着いた境内を歩きながら、もし多羅葉を見つけたら──
「ありがとう」「また会おうね」
そんな小さな一言を葉に刻んでみるのも素敵です。
大げさな祈りでなくても、ふっと心に浮かんだ言葉は、不思議と誰かへ届く力を持っています。

そして、葉に書く小さな言葉と同じように、紙に書く手紙もまた気持ちを届ける方法です。
スマートフォンのメッセージより少し手間はかかりますが、その分、文字の一つひとつに想いが宿ります。

落ち葉が道を彩るこの季節。
多羅葉の葉に刻むように、あなたの言葉も誰かの心に静かに色づくかもしれません。
この秋、紅葉を楽しみながら、久しぶりに手紙を書いてみませんか。
晴時々天晴