整理する色、想像させる色 
2色で整え、2色で遊ぶ

少し前のブログで、パンダやハチワレ猫を例に「白と黒の世界」の潔さについてお話ししました。
色を捨てて本質を研ぎ澄ませるモノクロ印刷は、やはりDTPの基本だと感じます。
今日はその一歩先というか、おとなりの「2色印刷」のお話です。

画面の鮮やかさより、目に優しい「温度

今の私たちは、スマホやPCの画面で何千万色という鮮やかな色を浴びるように眺めています。
それはとても便利で綺麗ですが、時々、情報の多さに少し疲れてしまうことはありませんか。
そんなとき、色数を抑えた落ち着いた印刷物を手にすると、なんとなくホッとします。
皆さんも、書類やテキストを読むとき、大事なところに赤ペンで印をつけたりしますよね。
黒い文字の中に一色入るだけで、不思議と情報が整理されて見えてくるものです。

昔から使われてきた「2色」という制約

2色印刷の面白いところは、この「整理整頓」の役割だけではありません。
たとえば、情報を際立たせるのが「赤ペン」の役割だとしたら、2色だけで描かれたイラストが生み出す独特の世界観は、いわば「空想の入り口」のようなもの。同じ2色でも、役割はまったく違います。
実は印刷の世界では、この「2色」という制約が昔からよく使われてきました。
フルカラー印刷が一般的になる前は、コストや工程の都合もあり、黒+もう一色という組み合わせが多くの印刷物で活躍していました。
とはいえ、2色印刷といっても組み合わせはさまざまです。黒+特色だけでなく、シアン+マゼンタのようなプロセスカラー同士の組み合わせや、特色2色の組み合わせなど、用途によっていろいろな表現があります。

さらに面白いのは、2色を重ねることで、実際にはない「第三の色」のような表情が生まれることです。たとえばシアンとマゼンタを重ねれば、紫のように見えることもあります。
限られた色数の中でも、工夫次第で意外なほど豊かな表現が生まれるのです。
どう情報を整理するか。どの色を選ぶか。どう雰囲気を作るか。そうした工夫が積み重なって、2色印刷ならではの表現が育ってきたとも言えます。

機能情緒のあいだにあるもの

情報を機能的に整理する「理屈」の色と、読み手の想像力や感性をそっと刺激する「情緒」の色。
この「機能」と「情緒」を行き来できる振れ幅の広さこそが、2色印刷という手法の奥深さなのだと思います。
フルカラーの時代だからこそ、あえて色を絞る表現は、かえって新鮮に見えるかもしれません。
そんな不自由なルールを面白がるような、心のゆとりを大切にしたいですね。
2色印刷には、昭和の駄菓子を思い出すような記憶もあります。その話は、また今度。
天晴